会話を、その場で文字にする
治療のために、少し強いお薬を飲んでいらっしゃる生徒さんがいます。
そのお薬の影響なのかどうか、このところ、聞こえがずいぶん悪くなってしまいました。ご本人も、それをとても気にしておられます。
一人だけ、みんなの言っていることがわからない世界。
それはいったい、どんな世界なのだろう。私には、想像することしかできません。
でも、そんなときこそ、デジタルの出番なのではないか。そう思って、いろいろと試してきました。
オンラインでのレッスンのときは、Zoomの文字起こしを使います。
話した内容が、画面の下に字幕となってすぐに表示されます。便利な機能です。
また、みなさんと実際にお会いするオフ会のときに使っているのが、「YY文字起こし」というアプリです。生徒さんご自身のスマホやタブレットにも、入れていただいています。

このアプリで、その場の会話がどんどん文字になっていきます。話している言葉が、目で見える文字に変わっていくのです。
あらかたの流れをこの文字で掴んでいただいて、聞き取りにくいところは「ここですよ」とお伝えしたり、もう一度わかりやすく言い直したり。そうやってやりとりをしています。
▼iPadに入れて使っているところ

クラスメイトの方が話す内容も、私が話す言葉も、ぜんぶ文字になります。会話も行き交いますから、ごらんのとおり、なかなかの分量です。
読むのは、生徒さんもきっと大変だと思います。でも、必死に目で追ってくださっています。文字にふりがなを付けられるので、そこも助かっています。
笑い声や拍手まで、見える「オノマトペ」
「YY文字起こし」には、「オノマトペ機能」というものがあります。
人の笑い声や拍手のような、字幕になりにくい音を、動きのある絵や文字で「見える化」してくれる機能です。
「あ、いまみんな、この話題で笑っているんだな」。そんな、その場の空気まで、目で感じ取れるのです。

iPhoneでもiPadでもAndroidでも使えます。
スマホならいつでも取り出して、聞こえの悪い人との間の、ちょっとした筆談の代わりにもなります。
「聞こえない」世界は、私には想像することしかできません。
みんなの表情を見て、何かが話題になっていることはわかる。
だけど自分の耳にはその情報が届かない。
みんなが笑っている、きっと何か盛り上がっている話題があるんだ。
だけど自分だけそれが聞こえない。
・・・それはきっと、自分だけが取り残されたような心細さなのではないでしょうか。
みんな活発に何かを話しているけど、一体どんな話題なんだろう。
みんなスマホを触っているけれど、いま先生は何と言ったんだろう。
少し遅れてもいい。「ああ、いまはこの話なんだ」とわかったら、うれしいのではないか。
ほんの少し遅れても会話に加われたら、きっと楽しいのではないか。
そう思いながら、私も工夫を続けています。クラスメイトのみなさんも、優しく見守ってくれています。
「聞こえ」の問題は、誰にでも起こりうること。
それでも、なんとか乗り越えて、みなさんと一緒に、笑ったり、話したり、同じことができたりして、レッスンを楽しんでいただけたらいいな、と思っています。
シニア世代のお困りごとを、デジタルが少しでも軽くできたなら、こんなにいい使い方はないな、と思うのです。
▼アプリはこちら
「ワイワイ文字起こし」です。


