2010年10月 はじめてのスマートフォンはGALAXY
2010年10月28日、はじめてのスマートフォンを手にしました。サムスンの初代 GALAXY Sです。ガラケーも十分使いこなせていなかった私。携帯メールなんていちいち入力も面倒くさいし、大体Enterキーもないし。両手で入力するキーボードは早かったけれど、ガラケーはさっぱり入力できませんでした。「今八丁堀、もうすぐ東京に着きます。」と入力しようとして、「八丁堀」と入力している間に、東京駅に着いてしまったこともありました。
ガラケーのデコレーションメールもやったことがありません。パソコンを使って仕事をし、パソコンで十分用事は足りると思っていたので、楽しく使う気持ちもなかったのです。電話連絡ができればよい、という程度。
しかし2010年に手にしたiPadとスマートフォンは、その後の私の仕事のスタイルを一変しました。
こんなに小さい画面で、今までパソコンで見ていたメールが見られる。自宅や職場に戻らなくては見られなかったメールが見られる。書類もついている。今まで印刷して持っていた地図が、出先で見られる。
外で同じことができる、というのは大変な驚きでした。
2011年 東日本大震災でネットの力を知る
2011年3月11日、甚大な被害をもたらした東日本大震災。忘れもしません、金曜日のミーティングの最中の事でした。いつもより長い揺れ。建物の中にいては危険を感じるような揺れ。先生と生徒さんと、全員外に出て外にいてもまだ揺れが収まりません。あの時、ちらちらと雪が舞いました。
片足をビルのタイルに、もう片足をレンガを敷き詰めた道路に載せていると、両足が前後に動きます。ビルと道路の境界線が動いているのです。地面が動く。肌で感じました。この建物は崩壊するのか、上からガラス窓が今に降ってくるのか、これからどうなるのか・・・様々な思いが脳裏をよぎりました。
浦安市も液状化というひどい状況になり、教室の前は水浸しに。はじめて液状化という言葉の意味を知りました。
また計画停電により電気の使えない日を体験しました。停電ですからパソコンは使えません。電気がないとパソコン教室は仕事にならないと実感。しかし当時教室に2台あったiPadのおかげで、インターネットで情報を集めることができました。
またスマートフォンでテレビが見られる、ラジオが聞ける、状況が分かる、ということを体験し、これからはタブレットやスマートフォンの時代だと感じました。
大震災後、キャンセル続きの春休み
あの頃、まだLINEもなく、都内に勤務する妹と連絡が取れなくて、私も実家の母も、妹に何十回と電話をかけたことを思い出します。電話やメール以外の連絡手段を知りませんでした。そんなことを考えたこともなかった。
また教室はちょうど翌週から春休み期間を迎え、生徒さんとお会いするのは3週間後の4月。もしかして新学期、どなたも教室にお越しになれないかもしれない、この災害時にパソコン教室に通っている気分にならないかもしれない。そうなったら教室はどうなってしまうのか。一抹の不安が頭をよぎりました。
春休み期間中の体験レッスンはほとんどキャンセル。それはそうです。この災害時、習い事を始める心の余裕はどなたにもなかったかもしれません。お客様がお越しにならない春休み期間中、教室で待っていても仕方ないので、できる限り市内に出かけて、災害の様子を記録してブログに載せることにしました。
その時のブログはこちら グーなキモチ(旧バージョン)
それまでは時々更新していたブログを、毎日更新するようになったのはこの時からです。
自宅にいて外に出られない生徒さんが、このブログを見て外の様子を知ることができた、本当にありがたい情報だったと、あとで聞きました。私にできる情報発信があるんだ、と思いました。
春休みが終わり、遠方へお引越しをされたお一人を除いては、どなたも欠けることなく教室にお戻りいただいたのは、本当にうれしいことでした。生徒さんと久々の再会に、手を取り合って喜んだことをついこの間の事のように思い出します。
災害時こそ使えなくては、活かさなくては、と痛感
災害時の情報収集、安否確認、ネットの有効活用。とにかく、私が感じたこと、これからぜひ身につけてほしいと思ったことを、生徒さんにはしっかりとお伝えしていかなくては、と痛感しました。
水道が止まり、給水車が出ていたのですが、ネットで市役所のページを見ることができた生徒さんは自宅でその情報を見ていましたが、ネットの使えない近所の方は、寒い中掲示板に貼られた紙を書き写していたそうです。生徒さんは「ネットが使えないと不便だと痛感しました」とおっしゃっていました。
また、大震災当日、都内から歩いて帰宅した生徒さんの中には、ネットで知った情報で、築地本願寺で一晩を過ごしおにぎりを食べることができたと教えてくれました。私も、近所のコンビニエンスストアにいつおにぎりが入荷するのか、Twitterで情報を得て、買い物をすることができました。
教室にはシニア世代の生徒さんが多くいらっしゃいます。安否確認や情報収集は切実な課題です。せっかく教室に通ってきていただいているのに、使えない、知らない、活用できない、では申し訳ない。
災害時こそ使えるように、活かせるようにと、ワードやエクセル中心だったカリキュラムを少しずつ変更していきました。この時代の先端をお伝えしなくてはと、iPadも授業用に10数台購入し、本格的にiPadの授業を取り入れました。
教室の生徒さん全員がiPadを触り、パソコンがなくても情報が調べられること、メールのやりとりができること、文書作成ができることを学んでいきました。
また、スマートフォンも教室で複数台購入し、手のひらの上で指先だけで情報が得られること、ラジオを聞いたり、外で地図を見たり、自分のアカウントを入れれば自分宛てのメールが見られることなどを学びました。
せっかくのスマホ、電話とメールじゃもったいない
iPadやスマートフォンを学んだ生徒さんは、そのうちご自分の端末を購入されるようになり、教室内ではだんだんとスマートフォンの保有率が高くなってきました。そして今ではスマートフォンの授業が定番になりつつあります。
今や私たちの生活の必需品といってもいいスマートフォン。でもその使い方で四苦八苦している方も多かったりします。
また使っているといっても、電話とメールだけ、LINEだけという限られた使い方しかしていない方を多く目にします。
本当はもっといろいろなことに活用できるのに、そして毎月高い契約料を支払っているのに、その使い方はもったいない!と思うこともしばしばです。だから授業では、「スマホの使い方」ではなくて「スマホの楽しみ方」をどんどんと紹介しています。
私の教室は「スマホの使い方」を教える教室ではなく、「スマホの活かし方」を学ぶ教室です。私は常日頃から、「平常時は楽しく使いこなして、いざという時に力を発揮できる」とお伝えしています。
平常時に何不自由なく使えていても、緊急時には慌ててしまって使えないという経験はありませんか? 平常時、人に聞かなくても楽に使えるくらいに使えていてこそ、緊急時、災害時に役立つ道具になるのです。
だから「普段は楽しく使って、いざという時役立てましょう!」と皆さまには繰り返しお話しています。
シニア世代の方が多く集まる教室も、密を避けるためにパソコンを1台おきに設置した理、いつもは声が響かないようにドアを閉めている教室も開け放ち、検温の上ご出席いただく。講師はフェイスシールド、マウスシールド、マスクなどを併用しての授業。透明の膜を垂らしたり、ついたてを設置したり。休憩時にお出ししていたお茶も廃止、授業前後の消毒と、今までとはまったく異なる環境でのレッスンとなりました。