地獄絵図を、部屋の電気を消してろうそくの光で見る。
そんな体験をしてきました。
デジタル復元士・小林泰三さんの主宰するイベントで
「賞道のすすめ」第4回 絵巻物 に参加してきました。
賞道とは、
「デジタル復元でよみがえった鮮烈な色彩世界を当時の人々と同じ環境で鑑賞する、それだけ。
誰でも気軽にできる新しい日本美術鑑賞法」です。
こちらが小林泰三さん。実は夫の高校の同級生。というご縁です。
小林さんは小林美術科学の代表です。
最初に軽食が出ます。あら素敵。
どんな鑑賞会なんだろう。楽しみです。
COREDO室町には「橋楽亭」という和風のレンタルスペースがあり、そこが今回の会場です。
絵巻物というと、美術館で長ーいショーケースの中に入っていて、人が動きながらその長い巻物を鑑賞する、というのが一般的ですが
本当は巻紙を動かしながら、鑑賞するもの。
紙をスクロールしながら、こうして文字がナレーションの代わりになるんですって。
紙を巻きながら「次はどんな場面何だろう・・・」と思いながら見ていくと・・・
地獄絵図が出てくるという。。。今回のテーマは「地獄絵図」
長ーい紙を自分が移動しながら見るのではなく、紙を巻き巻きしながら次はどんな場面が出るんだろうと楽しみにしながらみるという
目の前を絵が通り過ぎていくという、一種のアニメーションのような見方をするものなんです。
くるくるとこんな風に動かしながら見ていきます。
なるほどね! こうやって鑑賞するんだ絵巻物って。
長ーい紙が広い部屋に横たわった状態で見るものではないのです。
人が動きながら見るものではないんです。
紙を動かしながら見るものなんですね。
くるくる巻きながら見ていくと、「次は何が出るんだろう」って期待感。
端から少しずつ見えてくる絵に、ドキドキ、わくわくしながら、
また題材によってはしんみりしながら見ていたんですね。
巻いてしまえば片手で持てる、広げれば自分だけの映画館みたい。
手を広げた分だけスクリーンが広がる、自分だけの映画館ですね。
自分で少しずつめくりながら見る、アニメーション映画みたいなものなんですね。
またその絵巻物の色についてですが、古いものですから少し古びた色合いで見ているのが当たり前のように思っていました。
絵巻物自体も古いものですし、美術館で見るのは年代の経過したものですから、少し色あせた感じ、それが当たり前の光景でした。
幽玄な感じとでもいいましょうか。
でも当時の色使いからすると、オリジナルはこれくらい鮮やかな色だったという。
地獄で石臼を引いている緑の怪物、悪いことをした人が石うすでひかれてばらばらになって石うすから出てくるところ。
くっきり、はっきり、むしろユーモラスな感じさえします。
緑? アニメの怪獣キャラクラーのように、かなりデフォルメされた怪物が、地獄の窯をぐるぐるとかき混ぜているところ。
デジタル復元すると色も線もはっきりして、この怪物が鍋をどちらの方向にかき混ぜているのかもわかります。
かき混ぜる力の勢いで、鍋から飛び出しそうになっている人物も見えます。
本当にアニメーションのワンシーンを切り出したような、絵巻物の絵です。
昔の家屋、夜になったら照明はろうそくなどの光量の少ない照明しかありません。
今回の絵巻物、ろうそく(実際はLEDろうそく)で鑑賞します。部屋の電気を消して・・・
あれくらいはっきりとした色だからこそ、ろうそくのほの暗い光で見た時に絵が浮かび上がってこないんです。
栓も色もはっきりしているからこそ、ほの暗さの中でも映えるのですね。
ろうそくのゆらめきに照らされて浮かび上がってくる地獄絵図の場面。
夜、これを見た人は、きっと恐ろしさや怖さを体感したことでしょう。
そして本当に絵巻物はこうやって鑑賞されていたのでしょう。
美術館で長ーいショーケースに入ってガラス越しで見るものではなかったのですね。
別室では、実際に顔料を使って書いた絵巻物のある場面を、ろうそくの明かりで見せていただきました。
戦乱のワンシーンで、首を捕られる武士、敵を探す武士、燃え盛る館などがほの暗い灯の中に浮かんできます。
濛々と上がる火炎とともに、刀を合わせる音、怒号、パチパチと燃える音などが聞こえてきそうな、そんなひと時でした。
外国の方のご参加も。と言っても日本語ペラペラの和食料理人の方でした。
明るい現実の世界に戻って、最後にお茶とお菓子をいただきました。
お茶は茶人 神崎悠輔さんがいれてくれたもの。薫り高く甘~いお茶でした。美味しかった。
お菓子はのし梅と若鮎。
最後に記念撮影。
真ん中がデジタル復元士・小林泰三さんです。
次回は6月21日(水) お題は「古墳壁画」です。
もちろんその場で申し込みましたよ(笑)。楽しみです!
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