日本橋の麒麟と獅子と設定と・・・

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日本の道の起点として知られる「日本橋」。時々通ることがあります。

大都会「東京」の中で、「江戸」を感じられる場所です。

江戸幕府が成立したのが1603年、この年に初めて最初の「日本橋」がかけられました。

1604年には江戸幕府は五街道(東海道、中山道、甲州街道、奥州街道、日光街道)の整備を進め、日本橋が起点となりました。

ここに立つと江戸の香りを感じるのは、そんな歴史を聞いたからでしょうか。

 

現在、目にする壮麗な石造りの橋は、明治44年(1911年)に完成した20代目!江戸の町は火事が多かったと言いますが、火事による消失などで実に19回も架け替えられたそうです

この日本橋を通る時に目に入るのが、「飾子像」と「麒麟像」でしょう。レトロな雰囲気をこの像が醸し出しているといってもいいでしょう。

 

調べてみると、この装飾デザインを任されたのは、建築家の妻木頼黄(つまき よりなか)。彼は、西洋的なデザインを主体としながらも、獅子や麒麟といった日本的なモチーフを取り入れた、和洋折衷の美しいデザインを考案しました。

人物を調べてみました

  • 日本の建築家。明治建築界の三大巨匠の一人
  • 大蔵省営繕の総元締めとして絶大なる権力を持っていた営繕官僚
  • 奈良の東大寺大仏殿修復にも関わる
  • 父の頼功が早くに亡くなったため3歳で12代当主となる
  • 明治9年(1876年)家屋敷を売却して渡米、その後、日本で学ぶよう諭され帰国
  • 1878年、工部大学校造家学科(のちの東大建築学科)に入学
  • ジョサイア・コンドルに学ぶ
  • 辰野金吾の後輩に当たる

 

そして、そのデザインを見事に形にしたのが、彫刻家の渡辺長男(わたなべ おさお)。最初、渡辺さんの長男、なのかと思いましたが「おさお」と読むんですね。

人物を調べてみました

  • 日本近代彫刻の父と呼ばれた朝倉文夫の実兄
  • 明治天皇騎馬像や井上馨像、太田道灌像、広瀬中佐像など、数多く製作した
  • 1897年に高村光太郎、武石弘三郎らと「青年彫塑会」を結成し彫刻界を牽引、戦前の彫刻界の寵児となる
  • 戦時中の金属供出や戦後のGHQからの指示によりほとんどの渡辺作品は撤去された
  • 戦後は戦争に協力した国策作家と見做され活躍の場はほとんど与えられなかった

 

橋の両端、高欄の親柱を飾る獅子像は「守護」の象徴です。その前足には、当時の東京市の紋章(現在の東京都の紋章)が抱えられており、東京を守るという強い意志が感じられます。

この獅子像、実は制作にあたって様々なものが参考にされました。奈良県・手向山八幡宮の狛犬のほか、なんとヨーロッパの盾を持つライオン像も取り入れてほしいという要望があったそうです。ルネサンス期の彫刻家ドナテッロのライオン像なども参考にしつつ、最終的には盾の代わりに東京市の紋章を抱える、独自の堂々たる唐獅子が誕生しました。

東京都の紋章は「東京の発展を願い、太陽を中心に6方に光が放たれているさまを表し、日本の中心としての東京を象徴」という意味があるそうです。

神社の狛犬のように阿吽になっています。口を開いた「阿形(あぎょう)」の獅子と、閉じている「吽形(うんぎょう)」の獅子。

 

それから橋の中央には「麒麟像」。麒麟は、良いことがある前に現れるとされる伝説上の霊獣で、ここ日本橋では「東京の繁栄」を象徴しています。

原作・東野圭吾の映画『麒麟の翼』で、私は初めて意識してこれを見るようになりました。何気なく通っていると、あまり見ていないものなんですよね。

日本の道路の起点である日本橋から、全国へ向けて飛び立つような躍動感あふれる姿。制作時には、麒麟の角を何本にするかで論争が起こったという面白いエピソードも残っています。

この麒麟像、横を通るたびに、映画で主演を演じた阿部寛さんの顔が浮かぶんです。条件反射と言っていいでしょうね。

 
 
とても奥深いエピソードや背景のある「日本橋獅子像」なのですが、私はいつもこの前を通ると
「設定を踏んだライオン・・・」という言葉が頭に浮かんでしまいます。何度打ち消しても一度「設定を踏んだライオン」と見えてしまうと、どうしてもその印象をぬぐえません。
ライオンが前足をかけている東京都の紋章、ちゃんとデザインに意味があるんですが、私には職業柄「設定」に見えてしまうのですよ。設定アイコンね。
 
 
だから日本橋を通る時の私の脳内には、こんなイメージが浮かんでおります。
「設定を踏んだライオン」です。一度こびりついたイメージが払しょくできずに、この横を通るときは、妻木 頼黄さんにも渡辺 長男にも、申し訳ない気持ちでいっぱいです。
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