公開講座に参加した帰り道のことです。
二重橋駅から京葉線の東京駅へ向かおうと地下道を歩いていたら、ふと「明治生命館」という文字が目に入りました。
あれ、たしかこの中に、カフェがあったんじゃなかったかしら。ちょっと何か食べて帰ろうかな。
そう思った私は、小雨の降るなか、明治生命館へと足を延ばしてみました。
一歩足を踏み入れると、そこには何とも言えない、クラシカルな雰囲気の空間が広がっていました。天井は高く、太い石の柱がずらりと並んでいて、思わず「わあ」と声がもれてしまいました。
あとで知ったのですが、この明治生命館は昭和の初めに建てられ、国の重要文化財にも指定されている、由緒ある建物なのだそうです。
ドラマのロケにも使われそうな感じですね。

カフェでひと休み ― 注文はスマホから
お目当てのカフェは「明治安田カフェ 丸の内」。雨で人が少ないのかなと思ったのですが、お昼どきでやっぱり少し混んでいて、入口で発券機から番号を取りました。QRコードをかざせば待ち人数がわかるシステムです。

番号を持って待ち、案内されたのは大理石のテーブルの席。落ち着いた、ゆったりとした空間です。
席に着いて目についたQRコード。こちらのカフェ、注文は店員さんを呼ぶのではなく、テーブルのQRコードをスマホで読み取って、自分のタイミングで頼む仕組みになっていました。
最近この仕組みを取り入れているお店、多くなってきましたね。忙しそうにしているお店の人を呼び止めることなく、自分のタイミングで注文が取れるのは都合がよいと思いますが、こういうクラシカルな場所なら、やっぱりアナログな感じで、お店の人に注文を頼むのもいいな、と思いました。


とはいえ、自分のペースで注文できるのはいい点です。スマホの画面に料理の写真と説明が出てくるので、見ながらゆっくり選べます。
私が選んだのは、照り焼きサンドと、ロイヤルミルクティー。画面の「注文する」を押すだけ。

しばらくして運ばれてきたのは、青い葡萄の模様が美しいカップに入った、あたたかいロイヤルミルクティー。

そして、こんがり焼けたパンにお肉とお野菜がたっぷりはさまった、照り焼きサンド。クラシカルな空間でいただくランチは、それだけでちょっと特別な気分になりますね。

ランチのあとは、2階の見学ルートへ ― 音声ガイドもスマホで
ランチをしっかり食べ終わったあとで、ふと上を見ると2階の回廊に人影が見えます。「上に行けるんだ」と思ったので、お会計の時に「2階にはどうやって行くんですか?」と聞いてみました。
すると、エレベーターで2階に上がれば見学ルートがあるとのこと。さっそく2階へ上がってみました。受付の人がいて、建物の中を見学できるルートが設けられていました。しかも無料です。
入口には「音声ガイド」の案内が。これもまた、スマホでQRコードを読み取ると、各スポットの解説を音声で聞けるようになっていました。何でもスマホだなあ。

たまたまイヤフォンをバッグに入れていたので、一人静かに音声ガイドを聴きながら10カ所ほどのポイントを、ゆっくりと見て回りました。

時間が止まったような、重厚な部屋の数々
見学ルートには、当時のまま大切に保存された部屋がいくつも並んでいました。クラシックな応接室。

ずらりと椅子が並ぶ、立派な会議室。と思ったら、これは社員食堂だったそうです。ぴかぴかに磨かれた長いテーブルに、深い赤のカーテン。まるで映画のセットのようです。

あんまり素敵だったので、ここで一枚。

この部屋の手前には、お料理を2階に運ぶための、お料理専用エレベーターがありました。

明治生命館がGHQに接収された際、2階の会議室は「対日理事会(ACJ)」の会場として使用され、日本の戦後統治に関する重要な決定や議論が行われる場となったそうです。
マッカーサー元帥も何度もこの会議室に姿を見せていたそうです。

映像の説明がありましたが、ここで戦後日本の行方を占う会議が何度も行われていたとのと。本当にドラマの撮影に使われそうな感じです。

こちらは、ふかふかの椅子が置かれた応接室。窓には繊細なレースのカーテン、床にはお花の模様のじゅうたん。どの部屋も、ひとつひとつの調度品が本当にいい感じです。この調度品や家具も、この建物のために特別に作られたそうです。

ちょっと可愛らしい雰囲気の応接室もありました。

見上げても、足もとにも ― 細部に宿る美しさ
クラシックな建物には、素敵な照明が使われていることが多いですよね。
ふと見上げると、天井には彫刻のような飾りが施され、重厚なシャンデリアが下がっています。

天井の装飾は花をモチーフにしているようです。細部まで凝っています。

シャンデリアのもたらす陰影が、優しい感じを演出しています。

映像の説明を見ていて、どこにあるんだろう?と一生懸命探してみた足元。
床の大理石をよく見ると、なんと、アンモナイトの化石が埋まっているのです。説明書きによると、この大理石ははるか昔、ジュラ紀の地層からできたものなのだとか。何千万年も前の生きものの跡を、こうして踏みしめているなんて…ロマンを感じますね。

今一つ上手に見つけられなかったので、係の方に「ここと、あそこと・・・」と親切に教えていただきました。

大広間にもどって、建物をあとに
1階にもどると、そこは吹き抜けの大広間。市松模様の大理石の床に、重厚な格天井。
建物の模型も展示されていてました。カフェとして使える空間には、ゆったりとテーブルと椅子が設けられていて、ゆっくりとした時間が楽しめる、素敵な場所だなと感じました。
何の予備知識もなくふらりと入ったカフェでしたが、気が付けばずいぶんと長居をしておりました(笑)。

建物全体の模型や、当時の設計図なども置かれていました。

外に出ると、小雨はまだ続いていました。けれど、ふと目に留まった文字につられて寄り道してみたら、こんなにゆっくりと、豊かな時間が過ごせるなんて。「ふらり」の効果絶大でした。

スマホがあれば、カフェの順番待ちも、注文も、建物の音声ガイドも、ぜんぶ自分のペースで楽しめます。きれいな写真も撮れたし、大満足です。
スマホって、お出かけの時にも大活躍だな、と改めて思いましたが、慣れない方にはドキドキしてしまうかもしれません。また「難しそうだから」と使うのを諦めてしまう方もいるかもしれません。
でもカフェの順番待ちも、何度も列を確認しに行かなくてもいい。その間ゆったりと、素敵な空間のクラシックな椅子に座って、時々スマホを見ながら自分の順番をゆっくり待っていればいい。
注文も、静かな空間に「すみませ~~ん」と大きな声を上げなくてもいい。自分のペースで注文をゆっくりすればいい。
建物音声ガイドも、耳で知識を得ながら興味の赴くままに見学すればいい。
できたら楽しいことばかりです。ぜひおっくうがらずに、スマホを使うチャンスがあったら積極的に活かしてもらいたいな、と思います。

