IDとパスワードだけでは、もう守れない
最近、情報漏洩(じょうほうろうえい)のニュースをよく見かけます。
AIがすべての情報を漏らしているわけではありません。
ただ、漏れたIDとパスワードを使って入り込むときに、高性能なAIが使われ始めているのは確かです。
たとえば「ym0611YM0611」のような、イニシャルと誕生日を組み合わせたパスワード。
大文字も数字も入っているから大丈夫、と思いがちですが、いちばんやってはいけない形です。
月は「01」から「12」まで、日は「01」から「31」まで。
数字の範囲が狭いので、それこそAIにかかれば一瞬です。
イニシャルだってそうです。日本人なら、「P」とか「Q」とか「X」がイニシャルに入る人はめったにいないでしょう。
「どうして私の誕生日がわかるんですか」と生徒さんもおっしゃっていましたが、特定の人の誕生日がわかったわけじゃなくて、確率論の問題。
イニシャルもそうですアルファベット2文字を、日本人の名前によくありそうなものから順番に試しているだけ。
「あなたの」がわかったわけじゃなく、たまたまヒットした、という感じです。
だからパスワードにはイニシャルと誕生日は絶対に使わないでくださいね、とお伝えしています。
どんなに工夫したパスワードであったとしても、これで絶対大丈夫!ということはあり得ないのです。
だから、IDとパスワードのほかに、もう1つの確認方法が必要になります。
これを2ファクタ認証(2つの方法で本人確認)とか2段階認証いいます。
ファクターは「要素」という意味です。
確かめる場所
先日の教室で、皆さんのiPhoneの「2ファクタ認証」を一緒に確かめました。
iPhoneを使う上で一番大事な「Appleアカウント」。これを誰かに乗っ取られたらえらい目にあいます。
写真、連絡先、登録してあるクレジットカードの情報、クラウドに預けてあるデータ、これを他人が見られるということ。
下手をしたら、自分のiPhoneなのに、それを使えなくなるという事態も起こりかねません。
なので「2ファクタ認証」を確認していたのですが、そのiPhoneに、ご本人にまったく見覚えのない電話番号が入っていた方が数名いらっしゃいました。
「これ、誰?」
その場で連絡先を探しても、誰もいない。
ご家族の携帯でもなさそうです。こんなこともあるんですね。
確かめておいてよかったです。
ではその確認方法です。
(1)【設定】を開き、いちばん上にある、ご自分の名前を押します。

(2)上に【Appleアカウント】と書いてあります。
上から2つ目の【サインインとセキュリティ】を押します。

(3)下の方に【2ファクタ認証】とあるので、タップします。

(3)【確認方法】のところに、【このiPhone】や【信頼できる電話番号】が入っていれば大丈夫です。以前持っていたiPhoneや、iPadなどが表示されている場合もあります。そこにもお知らせが届く、という意味なので、お手元にあって電源が入る状態なら、ここに残っていても大丈夫です。

ここで、【信頼できる電話番号】に、ご自分やご家族の番号が入っているかも見てみてください。
冒頭の生徒さんのように、見覚えのない番号が入っていることもあります。
その時は、削除したい電話番号をタップします。

【アカウントから削除】をタップ。

【削除】をタップして、見覚えのない電話番号を削除しておきましょう。

届いた6桁は、誰にも教えない
教室で、こう聞いてみました。
確認方法に『このiPhone』って、どういう意味だと思いますか?
自分のiPhoneを、今自分で使っているのに、自分に確認が届いても意味がないように思えますよね。
でも、こう考えてみてください。
iPhoneを使う上で一番大事なAppleアカウント、「ID」と「パスワード」が、インターネットのどこかに漏れたとします。まさに情報漏洩ですよね。
そして、どこかの誰かが、自分のパソコンからその「ID」と「パスワード」を正確に入れたとします。正確に入力したなら、皆さまのAppleアカウントに入れてしまいますよね。
そんな時です。「本当にあなたかどうかを確かめる、第2のチェックがあったとしたら?」
犯人はその「第2のチェック」を通らないと、あなたのAppleアカウントにアクセスすることができません。
これが「2ファクタ認証」のポイント。「2ファクタ認証」があれば、例えば皆さんがお茶を飲んでいるときに、iPhoneに「これをやったのはあなたですか?」とお知らせが届くわけです。
そのお知らせが届くのが「このiPhone」=自分が今使っているiPhone、というわけです。
登録してある電話番号もそう。お知らせが届くのが、自分の携帯番号、という意味です。
こちらの表示、たまたま英語で出ていますが、「Appleアカウントにサインインしようとしています。」という意味です。

「え?なにこれ。私、今、何もやってないのに」
第2の関所があれば、「あれ?おかしいな」に気づけますよね。
もしもこの時、「私じゃない。私、今iPhoneで何も操作してないし」ということなら【許可しない】(下の図では「Dont’s Allow」をタップすればそれでよし。
だって自分じゃないんですからね。許可はしません。

でももし、こんな画面見たことなくて、意味もよくわからずに【許可】(下の図では「Allow」)をタップしたとします。

すると、画面に6桁の番号が出ます。これが「確認コード」とか「認証番号」と呼ばれているものです。6桁のことが多いですね。
まったくそんな知識もなく、「え? 何だろうこの番号」と思っていたところに、ちょうどいいタイミングで「あなたのアカウントに不備があります。確認のため、今届いた6桁を入力してください」というようなショートメールが届いたとしたら?
知らないって怖いですよね。
「あ、この番号を教えればいいのか」と、つい信用してしまう。
それが犯人の思うつぼです。

こうしてショートメールなどに届く認証番号は、「共有しないでください」とか「人には教えないでください」と注意書きが書いてあります。
それでも、「これを教えれば不備が解消されるのかな」「これを伝えないといけないのかな」なんて思いこんで、教えてしまう人が残念ながらいらっしゃるわけです。
この数字が手に入れば、第2の関所を突破したようなものです。
せっかく2段階(1段階目はパスワード、2段階目はスマホやメールに届く確認コード)で関所を設けていたのに、意味がなくなってしまうのです。

第2の関所を突破した犯人は、パスワードを変更したり、電話番号を追加したりして、今度は本当の持ち主が二度と入れないようにされてしまいます。
今回はAppleアカウントの例でご説明しましたが、他のケースでも自分が何もしていないのに届いた番号は、誰にも教えない。
これを覚えておいてください。せっかく関所を設けたのに、自分でその関所の扉を開けて犯人を通してしまうような、そんなこと、絶対にしないでください。
もちろん必要があって、自分で操作して、自分で確認番号を入れるなら問題ありません。
この、スマホの届く6桁の番号は取り扱い要注意。
「なんで知らないあなたに教えなきゃいけないの?」くらいの気持ちで、ちょうどいいと思います。
2ファクタ認証が設定されていないと、IDとパスワードさえ分かれば誰でも入れてしまいます。
クレジットカード、写真、そして連絡先まで見られます。
「私は入られても、クレジットも紐づけてないし、写真もそんなに取ってないし、別に何もないから」とおっしゃる方もいます。
でも、皆さまの「連絡先」。これが財産なんです。
無料でたくさんの連絡先を手に入れた犯人は、そこからまた、別の方への詐欺を働くかもしれません。
このAppleアカウントの2ファクタ認証、ご家族がiPhoneをお使いなら、ぜひ一緒に見てあげてください。
・見知らぬ電話番号が入っていないかどうか
・もう使っていないApple製品が登録されていないかどうか
そして2ファクタ認証の意味をしっかりと知って、自分に届いた認証番号は決して他人に教えない、ということも徹底してください!
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